エレファントカシマシの「STARTING OVER」CD レビュー

春清花

2010年04月08日 01:53

夜な夜なヘッドフォンで聴いては涙しました

どの曲も好きだけど
元々好きな曲の翳りゆく部屋とさよならパーティーが好きです。

ずーーっとなんか気になるアーティストでしかなかったエレカシ
好きになるきっかけになった武道館ライヴに誘ってくれた友達に感謝!

 宮本浩次の青年時代のほろ苦い経験をそのまま表した2曲「こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい」と「リッスントゥザミュージック」・・・そして力のこもった荘厳な声で歌われる「翳りゆく部屋」のカヴァーは、聴き手の心を巻き込む、痛いほどのせつなさ。前作のバラッド曲で物足りなかった何かをまとめて掴んだような、08年の今だからこそ涙が匂いが若々しいそんな青春の歌だ。

何か雰囲気が変わったな~って気がします。
いい意味でですが。
雑誌で読んだ限り、実際にメンバーの関係が穏やかな状態で作られたそう。
もう彼らも中堅~ベテランか~という感じです。

エレファントカシマシの宮本は優れたメロディーメイカーであり、なおかつ優れた歌い手であるということが証明された作品。
今までは力をこめてぐしゃぐしゃに丸めたものを「これでどうだぁ!!」と思いっきり投げていたけど、そのぐしゃぐしゃに丸めたものを、ひとつひとつのシワを丁寧に伸ばしながら広げてみたらとっても素敵なものが描いてあった。例えるならそんなアルバム。

たしかに随分ポップになって聞きやすくなったとは思う。今まで男くさいロックとポップの間を迷っていたバンドが、ようやくポップの方向に道を見出したという印象。

だけどどうなんだろう。もしポップとして評価するとすると、それこそ荒井由実だったり小田和正だったり槇原なんちゃららの大御所と比較したときにどうしても見劣りしてしまうわけだし、ロックという色をそぎ落としたポップというカテゴリーで見たときに、どうしても諸手を上げて評価する気にはなれない。(ただ、その中で、「笑顔の未来へ」だけはポップという土俵できそわせても最高と言っていい名曲だと思うが)エレカシ黄金時代というにはまだ早い気はする。

きっと彼はまだまだ迷い続けて、そしてその迷いの中のロックな生き様を見せ付けてくれるものと思う。

なんといっても素晴らしいのは宮本の力強く伸びのある歌声。今まではがなり声や怒鳴り声が宮本の代名詞だったように思うが、今回は(良い意味で)肩の力が抜けた伸び伸びとした歌声が聴ける。加えて、母音も含め、一音一音をしっかりと歌っている点が素晴らしい。特に「笑顔の未来へ」のAメロ、Bメロなど、宮本の歌う言葉とベースやキーボードのリズムが一体となって一種のノリというかグルーブを生み出している。
蔦谷好位置やYANAGIMANなど優れたプロデューサーがアレンジしたサウンドも素晴らしく(特に今回は石君のギターが冴えていると個人的には思う)本人がメディア等に出演した際に繰り返し言っていたように「ていねいに」作られたことがよく伝わってくる。

欲を言えば「桜の花、舞い上がる道を」も入っていれば完璧だったのになぁ…と思う。が、今後はどういったさらに素晴しい作品を発表してくれるのか非常に楽しみ。

若い頃尖ってたオヤジたちが骨太のロックンロールをやってます、という感じかな。

ウコンの力のCMで流れてる『俺たちの明日』、ダウンタウンDXで流れてた『笑顔の未来へ』、荒井由実の名曲『翳りゆく部屋』などなど。
かつてのようにトゲトゲしい曲はないものの、円熟味のある曲が揃った名盤です。

 それにしても、パワフルなビートと声がラストを飾る「FLYER」が凄い。『扉』の「パワー・イン・ザ・ワールド」のガムシャラな爆発力ともまた違う、人生の午後を「さあ頑張ろうぜ!」という晴れやかな気持ちで出迎え、少し清々しい顔になったあのかつての花男が己の道を一歩踏み出していく勇ましき後姿を見ているようで、感動的だ。
 おっさんになったらこのアルバムをもっと深い気持ちで聴きたいね。

いつまでも思春期じゃない しっかり時を経てきた大人なロックだと思った
酒・女・ドラッグ・イェー!みたいな(なんだそりゃ笑)海外かぶれじゃなくって 下手すりゃ武田鉄矢とか少し匂ってくるよな でも全然カッコイイ音楽だと思った!